「抗酸化作用」の定義

ダメージ酸化した細胞を還元する(欠如した電子を与えて安定した状態にもどす)ことを〝抗酸化作用〟といい、そのような作用をもたらす物質を〝抗酸化物質〟といいます。
抗酸化作用をもたらす物質は植物や動物の体内で生成され、フリーラジカルの蓄積を防ぐ役割を担っています。

フリーラジカルと活性酸素の違い

サビ活性酸素とフリーラジカルは同じものとして扱われることがありますが、厳密には活性酸素の一つの形態がフリーラジカルということになります。

活性酸素は、〝酸素が不安定な状態に変化し他の物質と結合しやすくなったもの〟で、これによって細胞に酸化のダメージをあたえます。活性酸素には血液に侵入した菌やウイルスを酸化する作用もあり、必ずしも悪い働きだけをしているわけではありません。
しかし必要以上の活性酸素(余剰活性酸素)が体内にあると、正常な細胞まで酸化のダメージを与えるという問題が起きます。
このように有害な作用をもたらす活性酸素をフリーラジカルとよび、そのなかでも最も有害なのが〝ヒドロキシルラジカル〟とよばれるフリーラジカルです。
このフリーラジカルは様々な物質(脂質やタンパク質、糖、遺伝子など)を酸化させる性質が強く、特に細胞膜をつくっている脂質を好んで酸化させることから、細胞の死滅の原因となります。





抗酸化物質の種類

酸化を阻止する物質にはSOD酵素(Super Oxide Dismutase)、ポリフェノール、ビタミンなどの他に、体内で生成される抗酸化物質であるグルタチオンなどがあります。
日照時間の長い地域に自生する植物には色素成分の一種であるポリフェノール(一般的に苦味を伴う成分)を多く含み、紫外線によるフリーラジカルの発生に対して、強い抗酸化物質を生成することによって身を守っていますが、このような成分は人間が摂取することによっても体内での抗酸化作用があるとされています。

活性酸素のコントロール

身体は、菌やウイルスを除去するために〝活性酸素〟を利用していますが、余剰活性酸素による酸化のストレスを防ぐためにSOD酵素やビタミン、グルタチオンなどを生成しているということになります。
体内で発生する活性酸素は一日に10億個にものぼるとされていますが、その活性酸素が蓄積しないのは体内の抗酸化物質の働きによって活性酸素の量がコントロールされているためです。
しかし体内の抗酸化物質の生成は年齢とともに減少し、余剰活性酸素であるフリーラジカルの処理が追いつかなくなることから、それによって光老化(シミ、たるみ、シワなど)が進行したり、生活習慣病(動脈硬化、アルツハイマー、脳梗塞、高脂血症など)を発症する原因になります。